大番狂わせで勝利した28歳コルテス氏の公式HP

 

【ワシントン発】 2018年中間選挙の展望に関連し、これまで本欄では下院共和党に焦点を当てた分析を複数寄稿してきた。その理由は、2015年10月のジョン・ベイナー下院議長(共和党、オハイオ州第8区選出、当時)の辞任以降、過去約3年間下院共和党指導部を率いてきたポール・ライアン下院議長(ウィスコンシン州第1区選出)が、11月の中間選挙では再選に挑まず今期限りでの政界引退を表明し、あるいは非常に多くの現職共和党下院議員が相次いで不出馬表明を行っており、下院では野党・民主党が8年ぶりに多数党の立場を奪還する可能性が浮上してきたためである。

 ところが、ここにきて民主党にも、予備選挙段階で将来の方向性や路線争いに大きな影響を与えかねない重大な展開が生じた。

予備選挙での大番狂わせ

 6月26日、筆者が居住しているメリーランド州や南部サウスカロライナ州、西部ユタ州など全米7州で予備選挙が実施され、11月6日に投票が行われる中間選挙で勝利を目指す候補が共和、民主両党それぞれの指名を獲得した。

 ユタ州選出上院議員選挙の共和党予備選挙では、2012年の共和党大統領候補であったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事が指名を獲得している。またニューヨーク州でも予備選挙が行われたが、同州第14区選出下院議員選挙の民主党予備選挙では、下院民主党指導部ナンバー4のジョセフ・クローリー下院議員が、無名の新人の挑戦者に得票差約15ポイントの大差で敗北する大番狂わせが起こった。勝利したのは、28歳という若さのアレキサンドリア・オカシオ・コルテス氏である。彼女は2016年大統領選挙キャンペーンでバーニー・サンダース上院議員(無所属、ヴァーモント州選出)の選挙キャンペーンにコミュニティ・オーガナイザー(住民組織のリーダー)として参画しており、自らを「民主社会主義者(a democratic socialist)」と位置付ける左派系新人候補である。

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