期間中、29本の作品が上映される(EUフィルムデーズ2018公式HPより)

 

 6月15日に閣議決定した「骨太方針」(経済財政運営と改革の基本方針 2018〜少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現〜)には「新たな外国人材の受入れ」が盛り込まれ、事実上の移民政策だとの意見が多く見られた。単純労働にまで広げた新在留資格のもと、2025年ごろまでに50万人超の外国人労働者を受け入れるという。

 第2次安倍政権発足直後の2013年6月に最初の「日本再興戦略」が示され、その「外国人材の活用」の項は、年を追う毎に具体的かつ重要度を増していった。「移民政策と誤解されないように配慮しつつ」と安倍晋三首相が言ったのは2014年4月4日。その年の6月11日、「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」が可決されたが、当時は問題にされなかった。今になって日本の「移民」問題が人口に膾炙するようになってきたが、もはやいびつな線路が敷かれつつある。

 このことでマスコミがよく取り上げるのは、技能実習生や留学生の労働に関する問題と、もう1つは、外国人の増えた社会で私たちが生活してゆく問題である。これらは一体となって語られがちであるが、前者は「外国人労働者の受け入れ」、後者は「多文化共生」の話題であり、よく考えれば別の問題だ。換言すれば、少子高齢化する日本で不足している労働力をどう補うかという国家政策と、すでにいる(そして今後さらに増えるであろう)外国人と一緒に暮らすための職場・学校・地域・地方行政の指針は、無関係とは言わないまでも、別の議論なのである。乱立する国内・外の悪質な日本語学校の取り締まり、留学生のアルバイト上限週28時間の賛否、外国人労働者の労働環境や待遇の改善などは、前者の問題に属するだろう。

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