大相撲名古屋場所千秋楽の七月二十七日、優勝した横綱白鵬に各種の賞状、優勝杯が贈られたが、その中に「日仏友好杯」があった。 バカンスでフランスに戻っている大使に代わって、ナンバー2のクリストフ・プノー公使が土俵に上がり、日本語で「あなたはよく健闘し、優勝されました」と賞状を読み上げ、銀製の優勝杯を手渡した。 この「日仏友好杯」の授与は五月の夏場所に続き二回目になる。昨年三月の春場所で「フランス共和国大統領杯」が優勝した大関白鵬に手渡されたのを最後に、フランスは優勝杯を廃止し、大相撲とのかかわりを絶った。しかし一年余りの後、優勝杯の名前と性格を変えて、静かに再登場したのである。「大統領杯」が廃止されるという話は、本誌昨年五月号に書いた。大の相撲ファンのシラク大統領は任期が満了する二〇〇七年五月に引退予定で、その後釜に同大統領と犬猿の仲のサルコジ氏が就く可能性が高かった。このためシラク杯と同義の「大統領杯」を残すことはフランス大使館としては考えられなかった。 結局、この五月、「日仏友好杯」と、名前と性格を変えて復活したのだが、決まるまでの一年余、大相撲とどのような関係を維持するかはフランス大使館にとって悩ましい問題だった。

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