今年五月、中国政府は国内の通信業界再編案を発表。これにより、長年延期され続けてきた第三世代携帯電話(3G)サービスの免許発行が視野に入り、基地局用製品などを取り扱う通信設備業者の商戦に火がついた模様だ。 業界再編で、念願の携帯電話二番手である中国聯通(チャイナユニコム)の通信規格「CDMA」部門を手に入れる固定電話最大手の中国電信(チャイナテレコム)は、七月、通信設備の入札を実施。仏アルカテル・ルーセントや米モトローラなどのメジャーをはじめ、中国通信設備大手の華為技術(ホアウェイ、広東省)と中興通訊(ZTE、同)も入札に参加した。 外資系が百億元(約千六百億円)を超える価格を提示する中で、ZTEは七十億元(約千五十億円)で挑んだ。さらに、ホアウェイが六・九億元(約百三億円)を提示。最初から利益は考えず、とにかくケタ違いの価格でメジャーを圧倒した。 結局、入札はZTEとホアウェイの中国勢が大部分を占める結果となった。実は今回に限らず、世界中の通信設備の入札において、現在ホアウェイとZTEが熾烈な入札競争を繰り広げているのだ。 ホアウェイは民間企業で中国通信設備最大手である。昨年の売上高は約一兆七千億円。設立して二十年あまりではあるが、世界メジャーに勝負を挑めるところまで急成長した。一方、ZTEは国有企業で業界二番手。二社とも本社が広東省の深センにあり、数百メートルしか離れていない。売上規模や海外展開戦略なども拮抗しており、まさに宿命のライバルだ。

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