福田政権は崩壊。政治の空白を奇貨として、官僚たちは猛烈な勢いで公務員制度改革の換骨奪胎を始めた。正義が葬り去られる危機だ。 突然の福田総理辞任。永田町のみならず霞が関にも激震が走った。もっとも、霞が関にとってはマイナスばかりでない。政策停滞に対する懸念が広がる中、こんな本音を口にする官僚もいた。「今回の辞任劇は、日本の政治がいかにダメかを象徴している。結局この国は、未来永劫、官僚主導で行くしかないことを、はっきりさせてくれた」。 二橋正弘官房副長官ら官邸官僚も、おそらくそんな思いを新たにしたのだろう。“官僚主導から政治主導への転換”を柱とする公務員制度改革は、この際一気に骨を抜いて葬り去ろうと考えたようだ。辞任後、官邸官僚の動きは素早かった。九月五日に予定されていた公務員制度改革顧問会議の初会合。当初二時間の予定とメンバーにも通知されていたが、突然、二橋氏から「顧問会議には大所高所の議論だけしてもらえばよい。二時間もしゃべってもらう必要はない」との指示があり、一時間半に短縮されたという。「大所高所」とは聞こえがよいが、要するに、作家の堺屋太一氏、政治評論家の屋山太郎氏などうるさ型の多い顧問会議を単なるお飾りの放談会にしてしまおうというわけだ。

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