西武百貨店とそごうを擁する持ち株会社ミレニアムリテイリングの佐野和義社長の退任が、流通業界で注目を集めている。伊勢丹出身の佐野氏は「百貨店マンとしての気位が高い人物」(百貨店業界筋)。その退任で、もともと「セブン―イレブンやイトーヨーカ堂と同じグループにいても、業態や扱う商品が違うので相乗効果が薄い」(同)とされるミレニアムを、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが手放すかもしれないと見られているからだ。 大丸と松坂屋が統合したJ・フロントリテイリングの奥田務社長は昨年、百貨店首位の座を狙い、セブン&アイの鈴木敏文会長にミレニアムの譲渡を打診したとされる。「鈴木会長は断わった」(セブン&アイ幹部)と言われるが、次なる買収希望者が現れる可能性は十分にある。ただ、ミレニアム獲得は「鈴木会長の肝煎り」(大手百貨店首脳)で行なわれたもので、「売却をトップに進言できる者は社内にいない」(同)ため、すべては鈴木会長の意向次第となる。

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