最近パリに出張したとき、知り合いの経済学者、ギ・ソルマン氏(六四)の家に招かれ、夕食をご馳走になった。友人らも加わった賑やかなテーブルの席上、訪仏したブッシュ米大統領の歓迎晩餐会にソルマン氏夫妻が招かれたときの話になった。 ブッシュ大統領は六月、欧州六カ国を歴訪し、十三、十四の両日、パリに立ち寄った。任期満了を来年一月に控えての最後の訪問で、サルコジ大統領になって大きく改善した両国関係を確認し、次期大統領の下でも米外交政策に大きな変更はないことを約束するのが目的だった。 十三日夜、サルコジ大統領夫妻はエリゼ宮で私的な晩餐会をもった。私的といっても両国にかかわる約百人の関係者が招かれる盛大なもので、ソルマン氏夫妻もその一組だった。「これまでの雰囲気とは一変した。堅苦しい儀礼を省き、楽しい雰囲気で、ファーストレディーのカーラさんが取り仕切ったことが一目瞭然だった」 男性はタキシードではなくダークスーツ、女性も正装の夜会服でなくカクテルドレス。ホストと賓客が招待客を迎えて一人一人握手するレシービングラインもなかったという。 私的な饗宴とはいえ、米大統領のような大国からの賓客のときにレシービングラインが省かれるのは珍しい。

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