インドシナの山林国ラオスの小さな可能性

執筆者:関山健2008年11月号

 ほとんど報道もされなかったが、八月三日、日本とラオス人民民主共和国との間で投資協定が発効した。日本はASEAN(東南アジア諸国連合)の主要国との間で既に二国間投資協定(EPA=経済連携協定=を含む)を締結しており、事実上鎖国状態のミャンマーを除けば、ラオスだけが「未開の地」として残っていた。 ラオスは、インドシナ半島の内陸国。北の国境は中国に接している。日本の約三分の二の国土に大阪府の人口より少ない五百八十万人が暮らす。近年は市場経済の導入と開放経済政策により、二〇〇五年度には七・五%、〇六年度には七・六%のGDP(国内総生産)成長率を記録したが、〇七年の一人当たりGDPは六百七十八ドル(世界百七十七カ国中百三十位、国連開発計画調べ)にとどまっており、最貧国のひとつに数えられる。 だがいま、ひそかに注目を集めつつある。世界的に鉱物資源の需給が逼迫するなか、ラオスは金、銅、ボーキサイト、鉄鉱石などの鉱物資源をもっているからだ。ほかにも、最先端技術に欠かせないコバルト、モリブデン、タングステンなどのレアメタルも産出すると見られる。オーストラリアのオキシアナ・リソース社は〇三年から金と銅の生産を始めており、さらに国内外の企業五十社以上が銅、亜鉛や鉄鉱石の探鉱を行なっている。

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