オバマ大統領が率いるのはどんなアメリカなのかついに合衆国大統領に選ばれたバラク・オバマ。彼が率いるのは、かつての“世界に冠たる”超大国ではない。イラクで躓き、金融危機で世界を苦しめたアメリカ。それを担う重さと、オバマに託す思いを、いま碩学が語る。[ニューヘブン発]アメリカが“新時代”への扉を開いた。全世界が注目した大統領選で、米国民は「変革」を掲げる民主党のバラク・オバマ上院議員(四七)を選び、米史上初の黒人大統領が誕生することになった。 世界中が熱狂したのは、アメリカという国が建国以来抱えてきた「人種の壁」を自ら突き破ったからだけではない。イラクとアフガニスタンで続く二つの戦争、大恐慌以来の金融危機など、この八年間の共和党ブッシュ政権がもたらした現状への不満や不信の渦が、それだけ広く世界を覆っていたともいえそうだ。「オバマ大統領」誕生は、危機に直面するアメリカと世界にとって何を意味するのか。アメリカは超大国であり続けるのか――。五百年にわたる大国の浮沈の歴史を俯瞰した『大国の興亡』の著者として知られる歴史家、ポール・ケネディ教授に聞いた。苦境と好機の狭間を――オバマ氏が大差で勝利した意義は何でしょうか。

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