今号二十六ページの記事でも詳しく触れているように、十四年前に自衛隊が国連平和維持活動(PKO)を展開したことで知られるアフリカ・コンゴ民主共和国東部の都市ゴマ周辺では、十月下旬以降、反政府勢力「人民防衛国民会議(CNDP)」と政府軍の間で一触即発の危機的状態が続いている。 同国東部の政情は一九九〇年代以降、武装勢力の乱立で混乱を極めているのだが、実は紛争が続いている大きな原因の一つは地下資源の存在だ。 金、錫などに加え、近年は携帯電話やゲーム機のコンデンサに使われるタンタルの原料コルタンも各勢力の資金源と見られている。われわれ日本人にとっても身近なハイテク製品に使用されるレアメタルなどの地下資源が、遠いアフリカの紛争の「軍資金」になっているのだ。 コルタンは鉱石の一種で、精錬すると粉末状タンタルを得ることができる。ハイテク製品の普及で、八〇年代初頭には年間百トンに満たなかった日本のタンタル年間総需要量は、二〇〇七年には二百三十七トンにまで増えた。コルタンの主要産地はオーストラリアやカナダだが、埋蔵量ではコンゴが世界一と見られている。 コルタンが武装勢力の資金源と化している問題を最初に指摘したのは、国連安保理が〇一年に公表した調査報告書。国連は今年の報告書でも資源輸出が紛争を激化させていると指摘している。最近のコンゴ政府とCNDPの対立激化を受け、英国の非政府組織(NGO)グローバル・ウィットネスは十月末、コンゴ産各種資源の管理強化を改めて国際社会に訴えたが、事態が改善される見込みはない。

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