家庭の食卓や居酒屋の定番「シシャモ」の品質が向上し、値段も安くなる可能性がある。大供給国のノルウェーが漁場内での個体数の減少に歯止めをかけることに成功、日本市場に再参入するからだ。 ノルウェーは、シシャモの資源を維持するために五年間の全面禁漁を続けていたが、このほど資源の回復を確認、十月十六日に国際海洋探査委員会(ICES)の勧告に基づき、ロシア領海に隣接するバレンツ海域で二〇〇九年分として二十三万四千トンのシシャモの漁獲枠を設定した。来年二月から漁が再開され、春には対日輸出が始まる。 ノルウェーが禁漁を続ける間、日本のシシャモ市場にはカナダ産とアイスランド産が流入しており、競争激化は避けられない。国内市場は三万トン前後とみられており、ノルウェーが漁獲枠の一割を対日輸出するだけで供給過剰になる可能性がある。鮮度・味・値段を各国が競い合って品質が向上するなら、それに越したことはない。 ところで、輸入「シシャモ」は正確にはカペリン(カラフトシシャモ)という海の魚で、川をさかのぼる北海道・日高地方の本家「シシャモ」とは別種だ。国産シシャモは、乱獲のため資源が急減し、漁獲量は千四百トン(〇六年)しかない。したがってスーパーや居酒屋の「シシャモ」のほとんどは輸入品「カペリン」。ただ、シシャモの語源はアイヌ語の「ススハム(柳の葉)」で魚の姿を表現しているだけであり、おいしくて安ければ、種類にこだわることはない。

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