日本人二名を含む二百二名が死亡――二〇〇二年十月にインドネシア・バリ島で発生した爆弾テロ事件の実行犯三人が、十一月九日に死刑を執行され、イスラム過激派組織による報復テロの懸念がインドネシアで高まっている。 十一月四日にはジャカルタにある米国と豪州の大使館に対して爆破予告が出されており、インドネシア国家警察当局は両大使館や外国人が多く集まる施設でのテロ警戒を強化している。 ところが、犯人が属していたとされる東南アジアのイスラム過激派組織「ジェマア・イスラミア(JI)」が路線を転換して、外国関連施設や外国人よりも、インドネシア政府組織の施設を標的として狙っている模様であることがわかった。 国家警察のダヌリ長官は十月末、「JIはインドネシア政府関連施設や政府要人にターゲットを変える路線を打ち出した模様だ」と発言。その根拠として、十月にJIと関係があると見られる五人を摘発し、強力な軍用TNT火薬や爆破用ケーブルを押収したが、そのアジトがジャカルタ北部にあるインドネシア石油・ガス公社「プルタミナ」の備蓄施設の近くだったことを指摘。この備蓄施設がテロの標的だった可能性を示唆した。 国家警察では「外国関連施設などの警戒が厳重であること、そして、捜査・摘発が身辺に迫っているとの認識がテロ組織側にあることが、彼らが標的を変えた背景にあるのではないか」と分析している。

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