富士通が「次世代半導体の開発レースから脱落するのではないか」との観測が出ている。 画像データの処理などに使われる半導体は、デジタルカメラやパソコンなどの基幹部品。より精密な次世代が量産化されれば、一個当りの生産コストが安くなる上、製品の高性能化にも対応しやすくなる。 開発には数年の期間と巨額の費用がかかり、日本勢は、すでに日立製作所と三菱電機が出資するルネサステクノロジがパナソニックと、東芝とNECエレクトロニクスが米IBMなどと組んで開発費を分担する。だが、富士通は対応を決めかねている。今年度中に提携先を決める考えを示してはいるが、「今さら加わっても他社から特許料を求められるのでは」(業界関係者)との冷ややかな声が支配的だ。 富士通は「身の丈を超えていた」(幹部)と自戒するPCサーバーなどのハードウェア拡大路線からの転換を進め、企業の業務システム構築など強みを持つ情報システム分野に経営資源を集中させつつある。巨額投資が必要な事業で最後に残されたのが半導体だ。社内では「撤退はあり得ない」との声も強く、生産の一部を台湾企業に委託するなどして単独で事業継続する可能性もあるが、先行きは厳しい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。