その実は「自立妨害法」と呼ぶべき欠陥法。「改革のグランドデザイン」とやらを描いた官僚よ、名乗り出ろ。「住み慣れた地域で、ごく普通の生活を続けたい。そんな当たり前のことが、どうしてかなえられないのか」 十月三十一日、障害福祉サービスに原則一割の「応益負担」を求める障害者自立支援法が違憲だとし、障害者と家族計三十人が全国八カ所で同法廃止や利用料相当額の賠償などを求める裁判を起こした。冒頭にあるのは、肢体不自由を抱える原告の一人が、同法によって通常の生活が営めなくなった理不尽さへの怒りを訴えた言葉だ。 応益負担とは、障害者が福祉サービスを受ける際、掛かった費用の一定割合を支払うこと。二〇〇六年四月に自立支援法が施行されるまで、障害者サービスは「応能負担」が基本で、各自が収入に応じた利用料を払えばよかった。介護保険も原則一割の応益負担を求めているが、障害者は高齢者に比べても所得が著しく低い。働いて自立できている障害者はまれで、障害年金を受給している人も全障害者の二割程度。利用料が免除される生活保護受給者は、障害者サービス利用者全体の一割に過ぎない。介護保険と同程度の負担限度額が設けられているとは言え、残り九割の障害者は乏しい収入の中から利用料を支払っている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。