内なる外国人の活躍は、中古車業界でも目ざましい。予想される売れ行きの落ち込みを救うのも彼らなのか――。 世間の不況風を尻目にここだけは熱気を帯びている。千葉県野田市にあるユー・エス・エス(USS=東京証券取引所一部上場)の東京会場。ここは世界最大の中古車オークション会場だ。バブル崩壊で建設計画が挫折したゴルフ場用地を買収したというだけあって、面積六十一万平方メートルの広大な敷地にざっと一万五千台ほどの中古車が並ぶ。 オークションビル三階の会場は映画館さながらのつくりで、座席には二千五百名が座れる。正面の五つのスクリーンそれぞれに二台ずつ、計十台(十レーンと呼んでいる)の中古車が映し出される。セリが開始される。五千円刻みで表示される価格たるや、まるでスロットマシーンのような速さでセリ上がる。座席では会員証を首からぶら下げたバイヤーたちがスクリーンに表示される価格の動きを一心不乱に追い、狙いをつけた価格になると瞬時に専用パソコンの赤いボタンを押す。 が、価格はさらに動きつづけ、予定価格で落札できなかったブローカーが舌打ちして席を立つ。そうして上がりつづけた価格が突然、スローテンポに変わり動きが止まる。画面下には「決定」の赤い文字が躍る。落札が決まった瞬間だ。セリ開始から落札までの時間はわずか二十秒足らず。一昔前のコンピューターゲームを彷彿させる光景だ。休む間もなく「Cレーンをはじめます」のアナウンスと共に隣のスクリーンで価格が動き始める。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。