十月十日、原子力技術で三十五年近くに及んだインドの孤立が終わった。米印両外相がインドへの民生用技術輸出を可能にする米印原子力協定に調印、同協定が発効したからだ。「二〇三〇年までに千五百億ドル(約十五兆円)に達する」(米国商工会議所)との試算もある原発市場を巡り、世界の有力メーカーによる争奪戦の幕が開いた。 その一角、米ゼネラル・エレクトリック(GE)はインド政府に国内の関連法整備を要請。万一の原発事故の際のメーカーの損害賠償責任の範囲を明確にしておくもので、ある現地経済紙は「我々は法整備について印政府と意見を交わした。インドが(法整備の)必要性を理解していることに満足している」とする現地法人首脳の談話を紹介した。 慢性的な電力不足に悩むインドが新設する原発は二〇年までだけで二十五―三十基に達する見込み。現在商業運転中の原発の少なくとも一・五倍で、これをGE、東芝と傘下の米ウエスチングハウス、フランス大手アレバ、ロシアの国営原子力企業などが奪い合う構図となる。 地場企業もチャンス到来に沸く。印政府が原発での発電事業を民間に開放する方向だからで、インフラ大手のGMRは開放後五―七年間で一千億ルピー(約二千億円)を投資する計画を表明。タタやリライアンスなど新規事業に熱心な大手財閥も手ぐすねをひいている。

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