晴れて公認「霞が関埋蔵金」を正しく使え

執筆者:高橋洋一2008年12月号

あの与謝野経財相も認めざるをえなくなった埋蔵金の存在。財務省はあの手この手で仕舞い込もうと策を弄するが……。  十月三十日、麻生太郎総理は経済対策を発表した。「定額減税については給付金方式で、全所帯について実施します。規模は約二兆円」「雇用につきましては、雇用保険料の引き下げ、働く人の手取り金額を増やしたいと存じます」。  この施策に伴う形で、いわゆる霞が関埋蔵金論争が決着した。与謝野馨経済財政相は、かつて「『埋蔵金』論争だが、あると証明した人もいない」(『毎日新聞』九月十三日付)と、埋蔵金の存在すら否定していた。ところが、これらの財源について、特別会計にある金を一時転用させてもらうのも現状の経済状況ではやむを得ないと、いわゆる「埋蔵金」の存在を認めざるをえなかったのだ。  実は、今回で埋蔵金論争は三度目である。そして、今回も埋蔵金を否定していたが、やはり出てきた。三度目の正直ではなく、二度あることは三度あったわけだ。 「簡単に二十兆円出てきたね」  まず、本稿で用いる「埋蔵金」という言葉をきちんと定義しておきたい。実は、筆者は、話せる時間や相手などの状況によっては、やむを得ず狭義の埋蔵金のみにしか言及しない場合もあるのだが、まず、(1)特別会計だけを対象とする場合と、(2)特別会計と独立行政法人その他の政府に関係深い法人も含む場合がある。次に、(a)ストックとしてのバランスシートの資産負債差額という過剰な積立金に限る場合と、(b)その他にも、フローである不用額(=歳出予算現額-支出済額-翌年度繰越額)と使途が不定のままの翌年度への繰越金も含む場合がある。(1)と(a)が狭義の埋蔵金、(2)と(b)が広義の埋蔵金である。

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