大恐慌は予防できるか

執筆者:名越健郎2008年12月号

 米国発の金融危機が猛威を振るっている。ワシントン・ポスト紙が「1929年の再来か?」と書き、世論調査で6割の米国民が「大恐慌の到来」を憂慮するなど、約80年前の大恐慌の恐怖が公然と語られるようになってきた。 ニューヨークの証券市場はジェットコースター並みに乱高下し、証券4位のリーマン・ブラザーズは157年の歴史を閉じた。3番手のメリルリンチは買収され、保険最大手AIGは政府から巨額の公的資金を受ける。証券自由化を極限まで推進したブッシュ大統領は、大恐慌を招いたフーバー大統領と同一視され始めた。 米議会は総額7000億ドル(約70兆円)の公的資金を注入する金融救済法案を採択したが、金融街ウォールストリートのパニックは収まりそうにない。 株価の相次ぐ暴落で、ウォールストリートの名称が変わった。 新しい名称は、安売りのスーパーマーケットチェーンにちなんで、「ウォールマート・ストリート」と呼ばれる。 問 証券市場で100万ドルを得るにはどうしたらいいか? 答 200万ドルを投資することだ。 ニューヨークの証券マンがホテルにチェックインした。すると、ホテルマンが尋ねた。「宿泊ですか、それとも飛び降りですか」

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