十一月十三日から七日間、沖縄周辺海域で実施された海上自衛隊と米海軍による日米共同訓練で、周辺海域にロシア海軍の情報収集艦が接近したために、訓練の一部変更を余儀なくされていたことがわかった。 在日米軍関係者らによると、東シナ海から太平洋にかけての公海上の訓練海域で、あちこちに姿を現わし活動していたのは、ロシア海軍のバルザム級情報収集艦(四千五百トン)。同艦は二〇〇八年八月にも沖縄本島の東約七十キロの太平洋上で情報収集しているのを海自護衛艦が確認している。 十一月の訓練は毎年実施しているものだが、今回は中国に見立てた「赤国」の潜水艦を探知し、追尾するという想定で実施することになっていた。 しかし、ロシアの情報収集艦がそばにいる状況で、海自航空部隊が潜水艦を音波探知するためのソノブイを海中に投下すると、訓練のために「仮想敵」に見立てた海自や米海軍の潜水艦の存在をロシア側に知られ、潜水艦の隠密性の鍵となるスクリュー音などの各種データを収集される可能性があったため、ソノブイ投下を一時見合わせた。 時間経過と共に自沈するソノブイをロシアが回収して分析する危険もあった。かつて、自沈前のソノブイを外国軍艦に回収された苦い経験がある海自は慎重な対応をしたのだ。

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