「そりゃあ、外国人が経営者では国からお金をもらいにくいだろうからね」。十一月十二日付で八城政基会長(七九)が社長に復帰した新生銀行。ティエリー・ポルテ氏が社長の椅子を譲ったこのトップ人事を見て、金融関係者の多くは同じ感想を持った。 八城氏は新生銀の前身である日本長期信用銀行が一九九八年に経営破綻し、翌年、外資系ファンドに売却された際に新生銀行初代会長兼社長を務めたが、二〇〇五年に会長となり、〇六年にはそれも退いていた。その“ロートル”が会長ばかりか社長にも復帰した理由として金融界で語られているのは、新生銀が再度の公的資金注入を申請する布石を打ったとの見方だ。 社長交代と同時に発表された〇八年九月中間決算で、同行は百九十二億円の赤字に転落。新生銀が目指したのは投資銀行モデルだったが、投資銀行の本家本元の米国でそのビジネスモデルが崩壊し、同行も岐路に立たされている。 いまや目立った利益を上げられるのはリテール(個人向け)部門しかないが、この分野で収益を伸ばすには店舗数が足りない。かといって、新たな収益源も見つけられず、“国から金をもらいやすい”と思われる八城氏に再びお鉢が回ったというのが金融界の読みだ。

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