オバマ政権における「日本の存在感」を占う

執筆者:飯塚恵子2009年1月号

真の問題は、新政権の日本への期待度が高いか低いかよりも、混迷する日本の政治が期待に応えられそうもないことかもしれない。[ワシントン発]大統領選で民主党のバラク・オバマ氏が歴史的勝利を果たして以来、ワシントンのシンクタンク、ブルッキングズ研究所はいつにも増して活況を呈している。金融危機対応のため、十一月半ばにワシントンに世界二十カ国・地域(G20)の首脳が集まった「金融サミット」の際には、会議出席のかたわら、韓国の李明博大統領、トルコのエルドアン首相、欧州連合(EU)議長国フランスのクシュネル外相らが相次いで研究所に足を運び、ストローブ・タルボット理事長(六二)らと会談した。 クリントン政権で国務副長官を務めたタルボット氏は、行く先々で「我々は独立した無党派の機関だ」と強調するが、一月に誕生するオバマ新政権の政策作りに同研究所が大きな役割を果たしているのは誰の目にも明らかだ。オバマ氏が外交安全保障分野の目玉人事の一つ、国連大使に抜擢した黒人女性のスーザン・ライス元国務次官補(四四)は、ブルッキングズ上級研究員を休職してオバマ陣営の選挙活動に携わっていた。このほか、同研究所からは今後十人以上が新政権の枢要ポストに指名されると見られている。

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