フランスのサルコジ大統領が金融危機や経済減速の回避を旗印に、経済への介入を強めている。銀行への強制資本注入や外資による買収を阻止するための政府系ファンドの創設、自動車産業への支援など、左派の社会党政権ではないかと見紛うほどの政府関与だ。 BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラルなど大手銀行六行への一斉資本注入では、注入額を当初計画の二倍である二百十億ユーロ(約二兆五千五百億円)に引き上げる方針を固めた。各行の経営状況を問わない一斉注入の狙いは、銀行に新たに課す融資増。融資残高の四%程度の純増が未達成の場合、経営陣の刷新など政府が公的管理下に置くことも視野に入れる。銀行からは「経営の裁量を国に握られた」との恨み節も聞かれる。 国外からの仏企業買収の防衛に主眼を置いた政府系ファンドでは、すでにアトランティック造船の三分の一の株式を保有したほか、航空・原子力機器大手ダエールの支援にも乗り出した。今後は中堅・中小企業への出資を増やす計画だ。 十二月初めにまとめた景気対策では、二酸化炭素(CO2)排出の少ない自動車への買い替えに対する最大二千ユーロ(約二十四万円)の補助金支給を盛り込んだ。プジョー、ルノーなどの仏メーカーは低燃費の小型車販売が主力。温暖化対策に名を借りた仏メーカー支援との見方がもっぱらだ。

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