「節目の年」を迎えた中国の不気味なマグマ

執筆者:藤田洋毅2009年2月号

中国にとって、今年は昨年に劣らず重要な年。建国60周年という慶祝の年であると同時に、チベット動乱から50年、そして天安門事件から20年を迎えるのだ。農民を始め、民衆の不満のマグマは溜まりに溜まり、熱くたぎっている。世界を覆う経済危機の中、よもやマグマの噴出口が開くことは――。《アルカイダが最高幹部会議を開き、中国へのテロ攻撃を決定した。 北京に乗り込んだ一人目のテロリストは、レンタカーを運転し空港から市内に向かった。だが、第二環状路から市中心部に移る高架ロータリーは、狭い上に迷路のように枝分かれしている。コース変更しようにも、疾走し横から割り込んでくる車が怖くてできない。ロータリーをぐるぐる回るばかりで、とうとう高架から下りられなかった。二人目はバスでの自爆テロを計画したが、われ先に殺到する乗客の波に押し戻されバスに乗車すらできない。三人目はスーパーに爆弾を仕掛けたが、退散の途中に店内でリモコンの起爆装置をスリ盗られてしまった。 北京では任務達成困難と見たアルカイダ指導部は、地方に目を移した。広東省は広州市に潜入した四人目は、爆弾を手に歩道を急いでいるとき二人乗りバイクの引ったくり強盗に遭って爆弾を紛失。陝西省に向かった五人目は、炭鉱を舞台に大規模爆弾テロをついに成功させたのに、中国政府は事件を公表せず、騒ぎすら起こらない。アルカイダ本部は「テロリストはウソの報告をしてきた」と判断、失敗と結論づけた。

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