自衛隊初の特殊部隊である海上自衛隊の「特別警備隊」が、ソマリア沖で海賊対策にあたることになりそうだ。特警隊が実任務(国際平和協力活動や国内の災害派遣など)に就くのは二〇〇一年の創設以来初めて。海自はソマリアへの派遣準備を進めている護衛艦に、特警隊の隊員を同乗させる計画だ。 防衛省関係者によると、政府は、海賊対処の法的根拠となる海賊新法の制定を急ぐ一方で、当面は現行の海上警備行動の枠内でも日本船籍の船舶の護衛は可能として、早ければ三月中にも護衛艦一隻をソマリア沖のインド洋に派遣、四月から任務を開始する方針だという。防衛省は、武装した海賊を念頭に、相手の武装解除や無力化など特別な訓練を受けた特警隊員を任務にあてることを決め、広島県・江田島に置かれた特警隊に人選や装備選定などの準備を進めるよう内々の指示を出した。 特警隊の全貌は明らかでないが、三個小隊以上で約七十人が配属されているという。船舶への立ち入り検査や警備を主任務とするものの、〇一年十二月の九州南西海域での北朝鮮工作船事件の際に「出動待機命令」が出ただけで、その実力のほどは未知数だ。 訓練が厳しいにもかかわらず実任務がないことから、入隊希望者は年々減少。近年では「質の低下」が指摘され、昨年九月には異動する隊員が十五人の同僚との訓練に名を借りた格闘で死亡する事件も起きている。海自は、特警隊に「初の実任務」を経験させることで隊員の不満を解消しようと狙っており、「ローテーションで予備隊員を含めた全員に任務を体験させたい」と意気込むが、海賊はそれほど甘くない。

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