銀行ATM手数料のカラクリを知るべし

執筆者:鷲尾香一2009年2月号

法律で決まっているわけでもないのに、当然のことのように徴収されるATMの手数料。われらが「公的」銀行は、何を拠り所にしているのか。 さて、今晩は家族にすき焼きでも食べさせよう。おいしい牛肉を買いたいとスーパーに足を運んだあなたは、財布の中身が心許ないことに気づく。あたりを見回すと、ATM(現金自動預払機)が目に入った。時刻は夕刻。口座を持っている銀行ではないけれど、キャッシュカードが使えるので必要なお金を引き出す。一〇五円の手数料を支払って――。 よくある話だ。ATMを利用するとき徴収される「手数料」なるものに、私たちはすっかり慣れっこになってしまっている。スーパーのチラシで肉の値段を比較したときは十円の違いがあんなに気になったにもかかわらず。 だが、その手数料がどのような根拠と基準で決められているか、知っているだろうか。実は、金融機関の職員でも答えられる者はごく一部にすぎない。一方、銀行の利用者である私たちは、普通預金の金利は腹立たしさを覚えながらも答えられる。そう、現在の〇・〇〇一%の金利では、一千万円を一年間預けても、一〇五円の手数料を一回取られれば「赤字」。銀行の論理では「別種のサービス」ということになるのだろうが、利用者の財布はひとつだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。