そのソマリア沖に、ロシアが軍事拠点を造ろうと動いているようだ。 ロシアは昨年秋、ソマリア沖で自国船員が乗ったウクライナの貨物船が海賊に乗っ取られたのを機に、自国民の安全確保を理由にミサイル・フリゲート艦を派遣。暮れには艦艇を増派するなど「アフリカの角(ソマリア全域を含むアフリカ大陸東端)」近海でのプレゼンス増大を図っている。 カイロの外交筋によれば、ロシアは海賊対策を隠れ蓑に、ソマリア沖からインド洋上で海軍の活動を活発化させており、アフリカ大陸東端アシル岬の東方に浮かぶソコトラ列島(イエメン領)に基地建設の準備中だという。アデン湾の入り口に位置するソコトラ列島は動植物の固有種の宝庫だが、アフリカ沿岸、アラビア半島沿岸さらには紅海での船舶航行をコントロールできる要衝でもある。 ソコトラ島には冷戦期の一九七一年、ソ連海軍の基地がイエメンの同意のもとに設置され、約二十年間にわたり使用されていた。「ロシア海軍の関係者とみられるグループが、今年に入り数回、ソコトラ島周辺で目撃されている。基地の復活を画策していることは確かだ」(カイロの外交筋)。米国防総省もこの動きに神経を尖らせているという。

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