昨年九月十四日早朝、四国と九州にはさまれた豊後水道周辺の日本領海内で海上自衛隊のイージス艦「あたご」が「国籍不明の潜水艦らしきもの」を発見したとして大きなニュースになった。あたごは追尾に失敗し、防衛省は「潜水艦とも、そうでないとも断定できない」と繰り返すばかり。「中国潜水艦説」と「漁具を見間違えた可能性」が報じられたが、その正体は杳として知れないままだった。 ところが、あたごが見つけた「潜水艦らしきもの」の正体について、海自幹部が内部報告の中で「米海軍の潜水艦だったようだ」と分析していることがわかった。当時、海自は「日本の潜水艦ではなく、米海軍からも当該海域に米潜水艦はいないとの回答を得ている」と発表、第三国の潜水艦の可能性を示唆したが、「米海軍はイージス艦情報の漏洩事件を起こした海自を信用しておらず、最高度の機密に属する極東での米潜水艦の行動を正確に伝えることはない」(防衛省幹部)。海自は当初から米潜水艦であるとの確実なデータを得ていたものの、「米海軍が否定し、それを公表した以上、うやむやにするしかなかった」(同)ともいうが、果たして――。

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