悪評紛々「信金中金」の責任逃れ

執筆者:鷲尾香一2009年3月号

「せっかく作ったのに、なぜ、どこも申請してこないんだ」 昨年末、佐藤隆文金融庁長官との話し合いの場で、中川昭一財務・金融相は怒りをあらわにした。金融機関への公的資金注入を可能とした改正金融機能強化法をもっと金融機関に使わせろという“恫喝”だった。 一月中旬、第二地方銀行協会の会長行を務める札幌北洋ホールディングス(北海道)が公的資金注入の申請を検討していることが明らかになる。実は、同行の横内龍三頭取はその一カ月前のインタビューで、公的資金の受け入れを「全く考えていない」と述べていた。それが一転して申請に向かったのはなぜか。「北海道選出の中川大臣が、地元銀行の頭取が否定的な見解を示したことにえらくご立腹だった。その後、政府筋、金融庁から公的資金を受け入れろとの強い圧力があった」と札幌北洋関係者は証言する。同行の別の関係者は「金融庁は『他にも三―四行は申請するから安心して欲しい』と言っていた」と内幕を明かす。実際に、その後、南日本銀(鹿児島県)や福邦銀(福井県)などが申請に名乗りを上げた。 公的資金という名の税金を、必要としていないのに当局の圧力で申請させられた金融機関がある一方で、傘下の信金が「申請したい」と言っているのに、それを頑なに拒否しているのが、全国の信金二百八十一金庫を束ねる信金中央金庫だ。

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