[フォートワース発]乗客の十人に一人が石油燃料以外の“環境にやさしい燃料”で飛ぶ飛行機を利用する時代が十年以内に来るかもしれない。むろん、すぐにも合成バイオ燃料のみを使用して飛行機が飛ぶわけではない。世界全体の需要を満たすだけの燃料供給はまだないからだ。それが実現するのはどんなに早くても四、五十年先――あるいは、新燃料が石油などの化石燃料をすべて不要にすることはないかもしれない。 とはいえ、業界団体の「国際航空運送協会(IATA)」は、二〇一七年までに航空燃料の一割以上を代替燃料に切り替えるという目標を掲げている。特に力を入れるのが、食用ではない植物や有機物を使った「第二世代バイオ燃料」の導入だ。 代替燃料に求められる条件とは、従来の石油燃料と全く同じように使えて、既存のジェットエンジンや機体を交換せずに済むものであること。多額の累積赤字を抱える航空業界にとって、すべてを一新するのはあまりに費用がかかり過ぎる。 だが、近年の試験飛行の結果が正確だとすれば、世界の航空各社は目標達成に向けて大きな前進を遂げつつある。今年一月三十日、日本航空は世界四番目となるバイオ燃料の試験飛行を実施した。羽田発ボーイング747-300型機のエンジン四基のうち一基に混合バイオ燃料を使用。カメリナ(アブラナ科)、ヤトロファ(トウダイグサ科)、そして藻から抽出したアルコールを精製したバイオ燃料と、従来のジェット燃料を一対一の割合で混合したものだ。

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