中国を代表するパソコンメーカー、聯想(レノボ)グループの会長に、創業者の柳伝志氏が復帰した。レノボは米IBMのパソコン事業の買収により、躍進する中国企業の象徴と一時もてはやされたが、二〇〇八年十―十二月期決算で約九千七百万ドル(約九十億円)の赤字を計上するなど業績が低迷。買収を機に経営の第一線から退いていた今年六十五歳になる柳氏を再びトップに迎えて経営再建を目指すことになった。 〇五年のIBMパソコン事業買収により、レノボは出荷台数で米デルや米ヒューレット・パッカード(HP)に次いで世界三位に躍り出た。コンピューター産業を牽引したIBMを中国企業が買収したことは「蛇が象を呑み込んだ」と評された。 一方で、買収に否定的な見方も当初からあった。米国の他のパソコンメーカーも生産拠点を中国に移したため、レノボの低価格戦略は世界市場で通用しなくなると懸念された。IBMの技術を吸収し安物の中国メーカーというイメージを払拭する戦略も描いていたが、最近では台湾メーカーの低価格パソコンが売り上げを伸ばし、レノボのシェアは世界四位に転落。世界の従業員の一一%に当たる約二千五百人を削減する方針が一月に明らかになったばかりだった。

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