長所も短所も覗く民主党の密やかな「政権構想」

執筆者:野々山英一2009年3月号

 麻生政権の超低空飛行が続く中、永田町では、次の衆院選での民主党の勝利が半ば常識として語られている。俄然、誕生の機運が高まってきた小沢一郎代表率いる民主党政権政権は、どんな姿になるのだろうか。 民主党の政権構想研究の歴史は古い。結党間もない一九九八年十二月、党の政権運営委員会が「新しい政府の実現のために」という答申を出している。二〇〇三年の衆院選前には「民主党政権では局長級以上の官僚に辞表を提出させ、党の政策に賛成する者のみ再起用する」との方針を打ち出し、霞が関を震え上がらせた。〇五年の衆院選マニフェストには「五百日プラン」という政権運営の工程表を載せている。 一連の構想で一貫しているのは政治主導の確立。今、菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長のもと、中堅・若手が中核となり検討している構想も、この考えが受け継がれている。 民主党は、衆院選に勝てば、米国で大統領選後に設置される政権移行チームと同様の組織を立ち上げる方針。ここで基本政策や人事を詰めるが、議論に官僚は入れない。 憲法では衆院選後、三十日以内に特別国会を召集して首相指名を行なうよう定めている。民主党はこの枠をいっぱいに使い、政権の枠組みをつくる方針。組閣後も、すぐには閣僚の会見を行なわない。準備不足で会見すると「官僚の“ご進講”を鵜呑みにして霞が関支配に陥る」と考えているからだ。

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