広東省では失業率が二五%にも達したとの内部情報も聞こえる中、権力闘争は相も変わらぬ激しさだ。まるで別世界のように……。 中国の大産炭地、山西省の屯蘭炭鉱で二月二十二日に「特別重大ガス爆発事故」が発生、七十八人が死亡した。 同省では昨年九月、鉱山のボタ山が崩れて二百五十四人が犠牲になる大事故があったばかり。同年一月に職に就いた孟学農省長が辞任を余儀なくされた。孟は二〇〇三年一月に北京市長に就任、直後の春に中国を席捲した新型肺炎SARSへの対策の遅れの責任を取り辞任している。孟は胡錦濤総書記に近い「団派(共産主義青年団出身幹部)」の有力メンバー。市長辞任後も胡らの庇護を受け、満を持して“表舞台”に復活したばかりだっただけに、「運気がよほど悪い」と噂されたものだ。 胡指導部は、孟の後任に王君を送り込み、重大事故防止への意気込みを示していた。王は、国家安全生産監督管理総局長も務めた炭鉱と生産安全の第一人者だ。 しかも事故直前の今年二月十一―十五日、党中央規律検査委員会幹部が同省を視察。省トップの張宝順書記と「全省反腐敗工作報告会」に臨み、重大事故や群体性(集団騒乱)事件の背後にある腐敗を徹底的に暴き出す、ことに「官商(官僚と企業家)」「官煤(官僚と炭鉱主)」の結託は厳しく取り締まると、こぶしを振り上げていた。全省安全生産工作会議でも王省長は、「泣き声より罵声を浴びろ」「二度と泣き声を耳にしてはならない」と強調、経営者の批判や罵りを恐れず、炭鉱夫や家族に涙は流させないと堅い決意を披露していたのだ。

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