五月十二日前後とみられるロシアのプーチン首相の訪日に向け、北方領土問題で突っ込んだ話し合いを避けたいロシア側が、様々なチャンネルを使って「首相の管轄は経済。訪日の目的は経済関係の強化」とさかんに煙幕を張り始めた。 ロンドンで開催されたG20首脳会合の際、日本側は麻生首相とメドベージェフ大統領の会談を要求したが、ロシア側は当初拒否し、結局、実現はしたものの、休憩時間の立ち話程度でごまかされた。 この場でも大統領は、プーチン訪日に関し「経済が主題だが、他の問題も話し合って欲しい」と、北方領土については煮え切らない態度だった。 麻生首相が二月にサハリンでメドベージェフ大統領と会談した際、プーチン首相は折からモスクワを訪れていた小泉純一郎元首相と密かに会談したと根強く囁かれており、依然として対日政策のキーパーソンであること自体に変わりはないようだ。 しかし、五月の訪日日程は、事実上一日だけの滞在となる見通しで、「日本に長居は無用」という姿勢は今回もありあり。日本側の関係団体が求めていた講演も時間不足を理由に調整が難航している。

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