ロシアが中央アジアのキルギスにある空軍基地を整備・増強するなど、軍事的プレゼンスを拡大する動きを見せている。 この空軍基地は、首都ビシュケクから約三十キロ離れた隣のカント市にあり、ロシアは数年前に同市に空軍基地を設置。キルギス駐在の複数の西側外交官によれば、ロシアは今年二月以降、基地の整備・拡張工事に着手したほか、キルギス領内の他のロシア軍事施設とカント市を直接結ぶ工事を行なっている。この工事が完成すれば、緊急時には空路、陸路でロシアおよびキルギスの他の場所から増強部隊を短時間で派遣することが可能になるという。 もともとビシュケク郊外にはマナス米軍基地があり、二〇〇一年の9.11テロ以降、米国のアフガニスタン戦略の重要拠点となっていた。しかし、基地使用料などをめぐる対立から米軍は既に同基地撤去を決定しており、これとタイミングを合わせる形でロシアのカント基地増強が行なわれているようだ。ロシアはカント基地を集団安全保障条約機構(CSTO)の即応部隊のため使用したい意向とみられる。 一方、ワシントンの外交筋によれば、米国はキルギスに隣接するウズベキスタンのほか、トルクメニスタンやアゼルバイジャンに代替基地設置について打診しているという。

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