ロンドンで開かれた金融サミット(G20)。前夜の四月一日、英首相官邸で開かれた夕食会には英国らしいプラグマティズムとウィットがあった。 首脳らはワーキングディナーのため、夫人たちとは官邸内の別々の広間に分かれて食事を堪能した。ただしメニューは同じで、ロンドンの有名レストラン「フィフティーン」のカリスマシェフ、ジェイミー・オリバー氏(三三)が担当した。「ブラウン首相から、英国にいかに素晴らしい食材と料理があるかを知らしめてほしい、と言われました」とオリバー氏。「なるべく質実に」との注文もついた。金融経済危機に取り組む会議で、贅沢な食事をしていると見られることは慎まねばならない。英政府には昨年の洞爺湖サミットも念頭にあったようだ。 福田首相が主催したこの晩餐会を、英紙はこぞって「資源と食糧価格高騰のさなか、首脳らはキャビアやウニなど十九皿の贅沢な料理を堪能した」と批判した。今回は会議開催に抗議するデモも起きている。G20首脳が結束したシグナルを世界に発信しなければならないとき、会議を艶消しにする事態は避ける必要があった。 菜食主義の人のことも考えて二種類のコースが作られた。 シェットランドのサーモンの燻製、アッケシソウと(菜食者用にヤギのチーズとサラダ)

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