財政支出十五兆円、事業規模五十七兆円という政府与党の追加経済対策が、四月十日にまとまった。すでに「大盤振る舞い」「まず規模ありき」と批判を浴びているが、策定作業の舞台裏を覗くと、改めてその無定見ぶりに呆れ返らざるをえない。 自民党は三月に「日本経済再生戦略会議」を設置し、追加経済対策について議論を行なってきた。会長は町村信孝前官房長官。戦略会議は、“陰の政調会長”と言われる園田博之政調会長代理に町村氏がみずから売り込み、自分が会長になることを前提に設置させたものだった。 町村氏は二月初めに、虎の威ならぬ森喜朗元首相の威を借り、所属する町村派・清和政策研究会の宿敵・中川秀直元幹事長を事実上降格させ、派閥会長に就任したばかり。その勢いをかって、ポスト麻生に意欲を燃やしてか、存在感を示しにかかった。しかし……である。財務相との「筋悪」論争 二月末に平成二十一年度予算案が衆議院を通過し成立の見通しが立ったことから、政府内では、補正予算案に向けた追加経済対策が、すでに経済官僚たちの手によって秘密裏に検討されていた。町村氏は、実はそこに目をつけていた。 三月十日、戦略会議の初会合となる総会が開かれた。雛壇には、町村氏の他、党の執行部や税制調査会幹部が居並び、多数の党所属国会議員が出席する大がかりなものだった。

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