四月中旬、トリニダード・トバゴの首都ポートオブスペインで開かれた米州機構首脳会議。反米「資源ナショナリズム」の南米左派政権首脳が勢揃いした。 チャベス・ベネズエラ大統領はオバマ米大統領と「友達になりたい」と笑顔で握手。コレア・エクアドル大統領は「米国の新政権を好意的に見ている」と語り、反米ムードが一変した。 だが、ボリビアのモラレス大統領は全く違っていた。「ボリビアでは(米国の)陰謀政策が続いている」と非難したのだ。 この間開かれたオバマ大統領と南米諸国連合(UNASUR)の十二カ国首脳との非公開の会談では、オバマ、モラレス両大統領が刺々しく応酬し合った。 日本では報道されなかったが、AP通信によると、モラレス氏がまず「私への暗殺計画を公式に放棄せよ」と迫った。これに対してオバマ大統領は「私はそんな計画を知らないし、米政府は関与していない。選挙で選ばれた政府への暴力行使を私は認めない」と切り返した。 実は、首脳会議直前の四月十六日午前四時、ボリビア最大の商業都市サンタクルスで、血なまぐさい奇妙な事件が起きていた。国家警察の特殊部隊「デルタ・グループ」がホテル・ラスアメリカス四階の部屋を急襲、三人を射殺したのである。

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