シンデレラになった「パッとしないハイミス」

執筆者:マイケル・ビンヨン2009年6月号

一夜にして世界的スターになったスーザン・ボイルを有象無象が取り囲む。最終審査は五月末。サクセスストーリーは続くのか。[ロンドン発]動画投稿サイト「ユーチューブ」でその姿を見た人の数は二億人以上。彼女は瞬く間に世界に名を知られる有名人となった。何十カ国ものテレビ局がインタビューを申し込み、各種代理人が映像化や出版の権利などを求めて契約を申し出ている。 イギリスのオーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」に登場した、スコットランドの冴えない四十八歳の独身女性が、歌を歌い出した瞬間、すべては始まった。会場にいた人々のみならず、その映像を見た世界中の人々が、彼女の歌声に心を奪われたのだ。 失業中で教会ボランティアをしているというその女性、スーザン・ボイルさんは、インターネットでまさに大旋風を起こした。洗練とはほど遠い、並の暮らしをする世界中の普通の人々にとって、チャンスを最大限に生かしてスターの座をつかんだボイルさんは、まさに希望の象徴となったのだ。番組の三人の審査員と当初は冷ややかだった会場の聴衆の心を鷲づかみにしたのは、彼女の歌声だけでなく、その外見と歌声のあまりの落差でもあった。

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