危機の時代に浮かぶ「空き缶の花」の情景

執筆者:大野ゆり子2009年6月号

 ヨーロッパの雑誌でも「経済危機をどう乗り切るか」という特集がよく組まれる。ちょっとした工夫でどう光熱費を下げるか、といった実用的なアイディアに加えて、フランスでは「予算を切り詰めて、いかに楽しむか」という記事が目につき、生きることも芸術と考えてとことん楽しむお国柄を表している。 美食の国フランスらしく、政府はレストランでの消費税を従来の一九・六%から五・五%に引き下げ、それがお客の勘定書きに反映されているかチェックする調査団も設置した。それでも、三つ星のレストランでしょっちゅう食事とはなかなかいかないこのご時世。とはいえ特別な日の外食の楽しみは捨てたくない。世界一の食通の街をもって自任するリヨンのタウン誌では、そんな読者のために、一流シェフが輩出する料理学校が生徒の研修を兼ねて営業するレストランを紹介している。未来の「ポール・ボキューズ」になるかもしれない、若いシェフの料理。生徒にとっては絶好の腕試しのチャンスだし、お客にとっては、才能の先物買いのような楽しみもある。このご時世には、お互いに「おいしい」話ではないか、という趣旨。同じような試みとして、美容師学校の生徒によるヘアカットが受けられる美容室も紹介されていた。

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