オバマ米政権の東アジア政策を実質的に仕切るのは国家安全保障会議(NSC)のジェフリー・ベーダー・アジア上級部長であることが鮮明になってきた。 アメリカの大使ポストで最重要とされてきた駐中国大使に、二〇一二年大統領選の共和党有力候補だったジョン・ハンツマン・ユタ州知事を起用するようオバマ大統領に進言し、それがあっさり受け入れられたことで、一気に存在感を増している。 ベーダー氏は一九七五年に米国務省入りし、北京、台北、香港を渡り歩いた代表的なチャイナハンズの一人。昨年の大統領選からオバマ陣営の外交チームに参画していたが、政権ではクリントン国務長官に近いカート・キャンベル次期国務次官補に主導権を奪われるとの観測がもっぱらだった。 ベーダー氏とハンツマン氏は〇一―〇二年当時に、米通商代表部のアジア担当として同じ釜の飯を食った師弟コンビ。国務省筋は「今後はハンツマン・ベーダーコンビの『阿吽の呼吸』で対中政策が決まる」と指摘する。 日本側も当然、ベーダー氏の影響力を重視し、政府、政党関係者の「ベーダー詣で」が早くも盛んだが、当のベーダー氏は「会うのが目的で『中身がない』とぼやいている」(米民主党関係者)という有り様で、日本の外交下手を露呈させている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。