一方の「三井住友・日興・大和」連合は、内部で摩擦を抱えながらも、動き始めている。 三井住友FGは、日興コーディアル証券の全部と日興シティグループ証券の一部業務を買収し、十月一日の統合を待つ。三井住友は日興グループを証券分野拡充の突破口に位置付けており、住友系ながら干渉を嫌う大和証券グループは干されかねない。 三井住友と大和の間には、両社が四対六の割合で出資する法人専門の大和証券SMBCをめぐり、不協和音が生じている。これまでは出資比率に応じ、大和出身者が社長を務めてきたが、出資比率「引き上げ」に意欲を示す三井住友に対し、大和側は「維持」を強く主張。主導権争いが顕在化しつつあるのだ。 大和は、住友商事や住友不動産など住友グループの有力企業の株式事務を仕切る主幹事証券の座にある。しかし、大和が大和SMBCの経営権に固執すれば、三井住友はグループ企業に働きかけて、主幹事を大和証券や大和SMBCから日興に移す可能性がある。「銀行と証券を天秤にかければ、企業は銀行に従う」(大和幹部)とみられ、大和が三井住友と衝突した末に事業地盤を失うリスクもある。 一方、リテール専門のSMBCフレンド証券社長には六月二十六日の株主総会で、三井住友銀行から遠藤修副頭取が送り込まれる。日興と重複する店舗の統廃合を急ぎ、日興に合流させるのが最大の任務とみられる。証券業界では「住友証券」の誕生と注目されている。

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