「テレビの復活なくしてソニーの復活はない」。四月にソニーのテレビ事業(現在は組織改編でホームエンタテインメント事業)本部長に就任した石田佳久氏は、そう公言する。 テレビ市場では、日本のメーカーが得意とする高級機種と、低価格商品との性能の差が急速に縮小。さらに、高級機種の値崩れと円高のダブルパンチが日本勢を襲い、大幅な赤字を出すこととなった。 ソニーも「BRAVIA(ブラビア)」ブランドで展開する液晶テレビ事業で一千億円を超える赤字を計上。もともと赤字が続いていただけに、早期の黒字回復に向けたコスト削減と、他社にない「ソニーらしさ」を備えた商品の開発が喫緊の課題となっている。 その立て直し役として白羽の矢が立ったのが、パソコン「VAIO(バイオ)」事業部門のトップだった石田氏。一九九五年にバイオの開発プロジェクトに参画し、その後一貫してパソコン畑を歩んだ石田氏に期待されているのは「テレビ以外」のノウハウをテレビ事業に持ち込むことだ。 ソニーは六月の組織改編でテレビ事業本部をブルーレイレコーダーなどの事業部門と統合し、「ホームエンタテインメント事業本部」を新設した。テレビと周辺機器の親和性を高めようという決意表明とも言える。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。