「老後資金」の中身、変わっていませんか?

執筆者:鷲尾香一2009年7月号

 老後の生活について全く心配しなくてすむ人は、そう多くはない。世界的な不況下にあって、多くの世帯で収入が減少。サラリーマンが加入する厚生年金は、若い世代ほど、払った額より受け取る額が少なくなるとみられる。 そんな公的年金に代わって老後の生活を支えるのが、確定拠出年金や個人の資産運用だ。たとえば、二〇〇一年に制度が始まった「確定拠出年金」の加入者数はうなぎのぼりで、〇九年三月末で約三百二十万人に上る。確定拠出年金は企業年金のひとつで「日本版401k」とも呼ばれる。現役時代に掛け金を確定させて運用機関(生保、証券、銀行など)に納め、運用の結果を老後の受給額として受け取る仕組みだ。 最大の特徴は加入者自身が運用商品を選べること。預貯金、公社債、投資信託、株式、信託、保険商品など選択肢は多いが、ほとんどの加入者は運用機関から勧められる商品を選ぶ。結果として、投信で運用されることが多いのが実態だ。 確定拠出年金と同じ時期に大ヒットしたのが、投資型年金とも呼ばれる「変額年金保険」だ。こちらは「年金」を謳った保険会社の商品だが、やはり掛け金を投信で運用する。 多くの人が老後の資金を確保する手段として選んだ投信。だが、いま、その「中身」が変わりつつある。

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