民主党の経済政策を検証する

執筆者:富山創一朗2009年7月号

政権選択選挙と言われる次回総選挙。民主党が何をしようとしているのか、しっかり調べておく必要がある。 衆議院の総選挙が刻一刻と近づいてきた。もちろん最大の焦点は政権交代が実現するかどうかだ。だが、仮に民主党政権ができた場合、いったいどんな経済政策を採るのか。百年に一度と言われる経済危機を果たして乗り切ることができるのか。本来ならば、民主党の経済政策がもう少し詳細に検討されてしかるべきなのに、“政局好き”の新聞各紙はほとんど記事にしていない。 もっとも、新聞が民主党の経済政策を検証できないのには訳がある。民主党自身が総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)をなかなか発表しないのだ。 六月五日に開かれた民主党の「次の内閣」の閣議で、菅直人代表代行(ネクスト副総理大臣)が、マニフェストについて「最も大きな課題であり、しっかりお願いしたい」と各ネクスト大臣に取りまとめを要請している。六月になって、英国に視察団も送っている。選挙に勝つためのマニフェスト では、民主党は新しいマニフェスト作りに追われているのか、というとそうではない。 実は、既にマニフェストは「金庫の中に仕舞い込まれている」(民主党幹部)のだ。福田康夫前首相が突如辞任した昨年秋、麻生太郎内閣が誕生した段階で総選挙が近いとみた民主党は、総選挙用のマニフェストを慌ててまとめた。あとは微調整のみ。要は公表を躊躇している、というのである。

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