スウェーデン発祥の国際的家具チェーン店「IKEAグループ」のダルウィック社長は六月末、「予測不能な官僚主義システムに明確な改善の兆候がみられるまで」ロシアでの事業拡大を当面凍結すると発表した。 凍結の直接の理由は、ロシア南部サマラでの新店舗建設にあたって、地元の行政当局が「安全基準を満たしていない」などの理由で八回にわたって計画の見直しを要求し、許可を出そうとしなかったこと。だが、それまでにも各地で地元当局の不透明な要求に悩まされ続け、ついに堪忍袋の緒が切れたというのが実情のようだ。 ロシア紙によると、IKEAは二〇〇〇年にモスクワ郊外に最初の大型店舗を開設して以来、これまで全国に十一店を展開し急速に事業を拡大してきた。しかし、店舗建設の許認可権を持つ地元当局が、いったん許可したはずの計画に難癖をつけ、オープン予定日が延期される例が続発。安全基準違反が見つかったと通路の拡張を要求されたり、消防基準を満たしていないと設備の改善を命じられたりして、そのたびに追加投資を強いられてきた。当初の契約通りに電気が供給されず、自家発電に切り替えた例が複数あり、合わせて二億ドル近い過剰負担が生じたという。

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