総選挙後「小沢派」は民主党を握る

執筆者:野々山英一2009年8月号

 七月十二日の東京都議選は、民主党が躍進、自民党は大惨敗を喫した。次の衆院選で民主党政権が誕生する可能性が、また高まり、永田町では「鳩山政権」の閣僚リストも出回り始めた。しかし、この動きとは別に、民主党政権の権力構造を決定づける“計画”が静かに進行している。その中心人物は、小沢一郎代表代行だ。 まず民主党政権の政策決定システムに触れておきたい。同党は、政府に政治家を百人以上送り込み、逆に党政務調査会などの役職を減らす。政府と党を一元化し、政治主導を確立するのが狙いだ。 この結果、菅直人代表代行、岡田克也幹事長ら首脳はもちろん、中堅・若手の有望株は漏れなく閣僚、副大臣、補佐官などとして政府に入る。だが、ただ一人、政府に入らない大物がいる。小沢氏だ。 西松献金事件で秘書が起訴されたことで“謹慎”の身なのに加え、政府入りして行動が制約されるのを小沢氏自身が嫌がっているからだ。 小沢氏は今の党代表代行(選挙担当)に留任するだろう。政府にスターが並ぶ中、小沢氏一人が閑散とした民主党本部八階の役員室に座る映像は、小沢氏が中枢から外れた印象を与えるかもしれない。だが、実は小沢氏にとっては最高の展開なのだ。

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