以前から囁かれていたクリントン米国務長官とエマニュエル大統領首席補佐官の確執が一層増す様相を見せている。 クリントン長官はファーストレディー時代、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)の和解工作を陰で支援したが、当時大統領政策顧問だったユダヤ人のエマニュエル氏がそれを妨害したとして、徹底的に攻撃。以来、両者は犬猿の仲といわれる。 エマニュエル氏は首席補佐官になるや、国務省が担当する外交問題のほとんどを直接報告するよう指示し、クリントン長官の神経を逆撫で。六月には、国務省で中東・南西アジア担当特別顧問として敏腕をふるっていたロス氏を大統領補佐官に引き抜き、同長官の怒りを増幅させた。 一方、クリントン長官は七月、自分と親しいゴールドマン・サックス幹部のホーマッツ氏を経済・エネルギー問題担当国務次官に指名するようオバマ大統領にねじ込み、受け入れさせた。ホーマッツ氏はかつて米通商代表部(USTR)次席代表や国務次官補などを務めた人物だが、エマニュエル首席補佐官は強く反対していたといわれる。 今回のクリントン長官の“逆襲”でエマニュエル補佐官との溝が深まるのは確実とみられ、「チーム・オブ・ライバルズ」の看板を掲げるオバマ大統領の采配ぶりが注目される。

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