介護士受け入れ「有力政治家」の言い分

執筆者:出井康博2009年9月号

「ヤマモトさん、今は夏ですねえ」 車椅子の老女の脇にしゃがんで、白地に緑のアクセントの入った制服を着たインドネシア人介護士、ワヒューディン君(二七)が、のんびりとした調子で話しかけている。「そうだね……」「ヤマモトさん、夏祭りには行きましたか」「若いころには行ったよ」「ワカイコロ?」「そう、若い頃はね……」「今でも、若いですよ」 そのひとことで、老女の顔がくしゃくしゃになった。「なあに! もう、しわくちゃだよ!」 老女が弾けるように笑った。立派にコミュニケーションが成立しているばかりか、ユーモアも通じている。 徳島県牟岐町にある特別養護老人ホーム「緑風荘」。この施設で、今年一月末からワヒューディン君は働いている。 ワヒューディン君はちょうど一年前の昨年八月、約二百人のインドネシア人介護士・看護師と一緒に来日した。その後、約半年間の日本語研修を経て緑風荘に配属された。 ワヒューディン君らは、日本が初めて介護・看護分野で受け入れた外国人労働者だ。今年五月には、フィリピンからも約三百人の介護士・看護師が来日した。日本はインドネシアとフィリピンとの間で結んだ経済連携協定(EPA)に基づき、両国から当初の二年間で千人ずつの介護士と看護師を受け入れる予定だ。さらに今後、ベトナムやタイからの受け入れが実施される可能性もある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。