英国で携帯電話サービス業界に再編の動きが起きている。 業界二位のボーダフォンが同四位のTモバイルUKを買収する意向が明らかになったのは六月末。世界最大手ながら本拠地英国でシェア二五%にとどまる同社が、不振のTモバイルを取り込むという構図だ。両社をあわせたシェアは四〇%で、首位O2の二七%を大きく上回る。 ただ、ボーダフォンが求めているのは、シェアよりも競争の緩和だ。大手四社が三社に減れば、激しい料金競争がおさまり、利益率が上がる可能性がある。O2や同三位のオレンジUKも同じ考えで、O2もTモバイル買収を検討しているという。英競争政策当局がどう判断するかは不明だが、多くの携帯電話会社が競争を減らすことに希望を抱いているのは間違いない。 例外は新興の3UK。無料通話ができる「スカイプ・ケータイ」を売り物に、急速に加入者を増やしている。香港の通信大手ハチソン・ワンポアの子会社で、一時はNTTドコモが出資していた。まだ英国での市場シェアは八%だが、早期に一〇%を突破し、上位四社に食い込む可能性がある。 スカイプ・ケータイの加入者同士なら料金が一切かからないため学生などがこぞって乗り換えているが、3UKの狙いはデータ通信収入。スカイプを利用する人は、通常の三倍ものデータ通信をするという。3UKは設立当初から高速通信が可能な第三世代でネットワークを構築しており、データ重視の体制ができている。音声通話は「おまけ」というわけだ。今夏から、販売促進のための大規模なプロモーションを開始した。

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