「政治危機の泥沼」にはまるアフガニスタン

執筆者:ジーン・マッケンジー2009年10月号

結果は見えていながら、なぜ「カルザイ再選」が確定しないのか。二千五百件もの選挙不正の訴えを誰がどう裁くのか。答えは見えない。[カブール発]大統領選挙が実施されてから一カ月を経ても、アフガニスタンの人々は未だ確たる結果を知ることができずにいる。 九月八日、独立選挙管理委員会(IEC)は現職のハミド・カルザイ大統領の得票が決選投票なしに当選が決まる「マジックナンバー」である五〇%を超えたと発表した。だが、開票作業は終わっておらず、たとえ完了しても、この数字が最終的なものになるかは不透明なまま。アフガニスタンは、終わりの見えない政治危機の泥沼にはまりつつある。 とはいえ、最終的な「落としどころ」は決まっている。カルザイが再選され、さらに五年間、大統領の椅子に座ることは、ほぼ間違いない。選挙関係者、国民、そして候補者たちを悩ませているのは、一位につけたカルザイがこのまま「当選」と認定されるのか、それとも次々と発覚する選挙での不正を理由に、二位のアブドゥラ・アブドゥラ前外相との間で決選投票が行なわれることになるのか、はっきりしないことだ。 国際社会は当初、上辺だけでも選挙の信頼度を高めるためには、決選投票を行なう方が良いと考えていた。だが、選挙後の混乱が続くにつれ、アフガニスタンの人々は、もう終わりにして欲しいと感じ始めている。水面下では、主な候補者の間で協議させようとする動きも始まった。

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